※本記事には『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』のネタバレが含まれますのでご注意ください。

公開から2週間が経とうとしている『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』。
自分は第一印象はイマイチだったのですが「あのシーンはなんだったんだろう」って考えれば考える程気付かされることが多くてそのたびに評価が上昇しています。
映画としてはアレなところが多いけど実はけっこうよくできているんじゃないかと思います。

場面ごとの結果はちゃんと描かれているんだけど、どうしてそうなっているかっていう説明は細かくやってない。
なので初見では「なんでこんなことやってんの?」ってなる。
でも行間を読むように考察を進めていくといろいろわかってくる。
(そんなに難しいことではないけど注意深く見ていかないといけない)

ここで問題なのは超メジャーなエンタメ作品『スター・ウォーズ』でそんなことをやらされるとは誰も思っていないこと。
「パッと見わかりにくいところがあるけどいちいち言わないしわかるでしょ?」みたいなスタイルで迫ってくる。
たしかにいちいち説明されてたら冗長なモノになるのは間違いないでしょう。
またそれだけ考え込む甲斐があるっていうのもスター・ウォーズという作品の持つ魅力ならではだとも思います。

『最後のジェダイ』を見て抱いた疑問点。
それにはだいたい答えがあります。
設定や状況、人物の心情などをパズルのように組み上げていくとそこには新しい『最後のジェダイ』が見えてくるでしょう。

また見てからこんなにあれこれ考えられる映画ってとてもコストパフォーマンスがいいですし、スルメのような美味しさを感じます。

年末からはIMAX3D上映が始まるようなので自分は行きたい気分です。
今見たら各シーンでいちいち感極まって泣いちゃいそう。

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さて今回は反乱軍のエース・パイロット、ポー・ダメロンについて考えてみます。
今作における超重要人物。
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予告編の後はネタバレにご注意を。





フォースとともにあらんことを




【ポー・ダメロンというキャラクター】
エピソード8『最後のジェダイ』のラストでポーはレイアから反乱軍のリーダーを委ねられる。
エピソード9では間違いなく超重要キャラクターとなるすごいヤツ。
・・・というのを前提に今作を見なければいけません。

また『最後のジェダイ』開幕の反乱軍の置かれている状況は超最悪。
共和国がまるごとなくなってしまった今資金援助はない。
基地はドレッドノートに破壊された。
逃げようにも背後にはファースト・オーダーの艦隊がピッタリ張り付いている。
全滅直前のチェックメイト。

・・・なんだけど冒頭そうは思わせずミスリードを誘うのがポー・ダメロン。
Xファイターでの彼の活躍を見たら「まだいけるじゃん」って思っちゃう。
それほどまでにポーは超カッコイイ!
実はそんなことやってる余裕なんか全然ない撤退戦、まるで『ダンケルク』なんだけど。

観客はそう思うんだけど、ポーを見て反乱軍の連中もそう思っちゃう。
だからポーの鶴の一声でドレッドノートへの特攻を決行してしまう。

あの爆撃機はスピードも遅いし装甲も紙みたいに脆いし「なんでこんなの使ってんの?」って思いますよね。
でも共和国の後ろ盾がなくなった反乱軍にはもうあんなのしか残ってなかったっていうのが妥当でしょう。
ここで重要なのは「あんなの」しかなくて勝ち目なんかないのに総員を奮い立たせてしまうポーのカリスマ。
この土壇場でリーダーとして急速に覚醒しつつあったのです。

※爆撃機のねーちゃんが大日本帝国軍の飛行機乗りの特攻服みたいな恰好なのいかにもでイヤなんだけどまあわかりやすいといえばそう。

※爆撃機の爆弾が無重力の宇宙空間なのに「投下!」ってやってるの、電磁力の反発かなんかで下に押し出してるのかなとか勝手に解釈してる。


【降格させられるポー】
ドレッドノートへの無謀な作戦を指揮したとしてレイアはポーを降格させる。
これはまったくもって正しい。
レイアもポーが次世代のリーダーになることはもうわかっている。
でも今は逃げて逃げて生き延びる時。
そんなときにポーが「最後は華々しく戦って散ろう!」なんて言おうものなら全員が玉砕しかねない。
なので彼の発言権を今は封じておかねば。

ポーにビンタをして降格を告げるレイア。
あのシーンの彼女の気持ちを考えると胸が張り裂けそうになります。







【作戦を教えてもらえないポー】
紫のおばさんことホルド中将はポーに最後の作戦を教えない。
ここがみんな一番首を傾げるところだと思います。
でもポーが次世代のリーダーになるということから考えるとこうなんじゃないかな・・・ということが見えてきます。

新時代のリーダーに必要なこと。
それは錦の御旗として汚れていないこと。
ジリ貧の状況で逃げることしかできないという格好悪いことをポーにやらせてはいけない。
ポー本人がそんなのに関わっちゃいけないし、「逃げた」という負い目すら背負ってほしくない。
なのでポーは蚊帳の外、できれば作戦中は気絶しててもらうくらいでいい(実際気絶してた)。
「逃げるくらいなら最後は華々しく戦って散ろう!」ってポーが言い出したら大変なので、ってのもあると思います。

レイアもホルド中将もそれほどまでにポーのことを大事に思っていたのです。
劇中のホルド中将のセリフすべてに嘘はないのです。



【そしてリーダーになる】
『最後のジェダイ』ラストバトルの最中、ポーはルークを見てリーダーとして欠けていた慎重さを身につける。
そしてフォースの共時性に導かれるように反乱軍最後のメンバーをミレニアム・ファルコンに導く。

銀河に平和をもたらすため次回作エピソード9でも激しい戦いが繰り広げられる。
しかしその戦いの中心にポー・ダメロンの姿があるだろう。
Xファイターではなくもっと大きなモノに乗っている彼の姿が。







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