人はなぜ映画館に行くのか

銀幕のむこうに何をみるのか


今ひとつの映画館が終わりを迎えようとしています。
渋谷シネパレスが2018年5月27日で閉館へ。

これを書いている時点であと数日の営業ですが足を運んでみてはいかがでしょうか。
渋谷にしてはひっそりと落ち着いた雰囲気が好きな映画館でした。
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思えば『パシフィック・リム』もここで見たんだった。
『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』や『ELLE』を見に行ったのもいい思い出。
もしかしたら昔『NIGHT HEAD』もここで見たかもしれない。

渋谷シネパレス
70年に感謝ワンコイン(500円)でお別れです※特別興行 | 渋谷シネパレスオフィシャルサイト

なんといっても注目はお別れ企画の500円上映。
伝説のKADOKAWA映画がラインナップされています。

その中でも自分が強烈に惹きつけられたのが『犬神家の一族』(石坂浩二主演の1976年版)。
5月19日の最初の上映に行ってきました。
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もうこの『犬神家の一族』って書いてある半券が最高だし、劇場で開場時の「お待たせしました。犬神家の一族、開場いたします。」という劇場係員の方のアナウンスのフレーズにうっとりもした。
2018年にあの犬神家の一族をここまで全身で味わうことができるとは!!

『犬神家の一族』は過去何度か見たことはあるけど映画館で見るのは初めて。
そして自分の人生において映画館でこれをみるというのは最初で最後の機会。
なぜこれほどまでに好きなのかは自分でもよくわからない。
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全国から犬神家マニアが集結すると予想してチケット完売も覚悟していったのですがこの日は座席数の半分弱くらいの入り。
ちょっとさみしい気もしたけど、渋谷シネパレスや映画に思い入れのあるみなさんと一緒にスクリーンを眺めるのは感慨深いものが有りました(勝手に感傷的になってただけかもだけど)

予告編の後はネタバレにご注意を。






なんといってもオープニングのあのテーマ音楽にひきこまれて、最後まで画面から目が離せませんでした。
これから惨劇が起こるのに怪しくも美しくせつない旋律。

この頃の映画ってオープニングでスタッフロールもやっちゃってるので最後は「完」とか「終」でサッと終わっちゃうんですね。
これはこれで独特の余韻があって面白いです。
(そういえばエヴァンゲリオンの『まごころを、君に』も最後はアスカの「気持ち悪い」ってセリフでブツッて終わってたのを思い出した)

この映画の面白さって、人間の欲望、親子の愛、殺人のトリック、戦争や時代の哀しさ・・・などなどいろいろな要素があると思うのですが、それ以上になにか得体の知れない凄みを感じてしまいます。
この先他のいろんな映画を見て自分の感覚が成長すれば新しいものを感じ取れそう。
映画人生のベンチマーク的な作品としてまた数年後に見たいと思います。

女優陣の演技が光っていたし、ヒロインの珠世(島田陽子)はお綺麗。
しかし今回注目したのは那須ホテルの女中・はる(坂口良子)!
うどんを食べるのがかわいかったです。
(金田一が質問攻めするからおちおち食べてられなかったけど)

あとスクリーンに大きく映し出されるスケキヨさんは怪しさ満点だったのはいうまでもありません。
鑑賞後はいろんな思いを胸に渋谷シネパレスを後にしました。
ありがとう、渋谷シネパレス。





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