TVアニメ『響け!ユーフォニアム』からポンと出てきた劇場アニメ『リズと青い鳥』。
自分でもびっくりするのめり込み作品となってしまいました。
気がつけば映画館で鑑賞すること6回。
観ようと思っていた他の作品がそっちのけでした。

女子高生ふたりの気持ちの機微を単焦点に繊細に描いたこの作品。
テーマはいくつかあるけれど重要なのは観客それぞれが鑑賞中に感じたことだと思います。
それは言葉にするまでもなかったり言葉にできないような気持ちだったり。
なんだかよくわからないけれど何度も観ちゃったという方も多いかと思います。
観るたびに新しい発見があったし映画として相当な強度を持ってることを思い知らされました。
あとまあ登場するカワイイ女の子たちが何を見て何を想っているのかを考えるのが気持ちいいんですよね。
そこは存分に萌えていいポイントだと思います。
夏服がいいのです☆カワイイ。

いうなれば山田尚子監督の千本ノック!
響く人にはとことん響いてしまう『リズと青い鳥』。
とても素晴らしく尊い作品です。

TVアニメの『響け!ユーフォニアム』がいちおう前提だけど見ていなくても大丈夫。
もしピンと来てまだご近所で上映してたらぜひ劇場で。


【私とユーフォニアムシリーズ】
・原作ノベルは未読。
・TVシリーズ1期はリアルタイムで夢中で見た。
・2期はタイミングがあわず見ていない。
・『聲の形』は見ていない。

(2018年)
4/21 『リズと青い鳥』劇場公開。
4/26 1回目の鑑賞
4/30 『アベンジャーズ・インフィニティウォー』鑑賞(サノス強え)
5/28 2回目の鑑賞
5/31 3回目の鑑賞
6/1 『デッド・プール2』公開(それどこじゃない)
6/4 4回目の鑑賞
6/9 5回目の鑑賞
6/28 6回目の鑑賞(新宿ピカデリー舞台挨拶付き上映)

実は2回で見納めにしようと思ってたのですが他の観客のお菓子の袋をワシャワシャする音がうるさくて憤激。
「このままでは終われん!」と見納めを重ねた結果6回も見てしまったという。
(今となっては2回目での騒音に感謝している。)
フィルムなどの鑑賞特典があったのにも釣られましたね。
5月〜6月はずーっとリズと青い鳥のことばっかり考えてて他に何も手が付かない状態に。
そんな半ノイローゼが続いていましたが6回目は舞台挨拶付き上映で最高の見納めとなりました。


6月28日の舞台挨拶は希美役 東山奈央、みぞれ役 種崎敦美、梨々花役 杉浦しおりのお三方がご登壇。
作品やキャラクターへの想いを聞くことができたのはもちろん、味ついてて美味しいゆでたまごも飛び出してとても楽しかったです。

ブルーレイを買ったつもりで映画館に何度も見に行ったけど、このあとブルーレイが発売されたらやっぱり買ってしまいそう。
あとあまりにも夢中になりすぎてしまったために2018年の映画ライフが半年で燃え尽きた感じになってしまったのが想定外でした。
気持ちを切り替えて今年後半も映画に向き合っていこうと思います。
(こうして感想を吐き出しておかないと踏ん切りがつかなくて・・・)


このあとは『リズと青い鳥』を観ていて感じたことをネタバレありでちょっとだけ書きます。




【disjoint → disjoint】
disjoint=互いに素
希美とみぞれは仲が良さそうに見えてどこかすれ違っている。
一緒にいるけれど話が通じてなかったり一方通行だったりというのが2回目の鑑賞からだとよりビシバシ伝わってきます。
特に序盤では徹底的に描かれる。
そしてそんな友達の関係だけじゃなくて、音楽での関係だとか、互いの存在の意味だとかいろいろな「互いに素」が最後に「disjoint」になるという始末。
今の自分にはうまく言葉に出来ないんだけど「もどかしさ」のその先にある何かにたどり着けたような希望?
ありがとう・・・?


【どちらがリズでどちらが青い鳥?】
1回目の時は序盤でのみぞれ=リズ、希美=青い鳥という位置づけはスッと受け入れたんだけど、何度も鑑賞を重ねるといよいよどちらがどちらかわからなくなってきます。
細かいところを見ていくと序盤からふたりがいつ入れ替わってもいいような描写が巧妙にサブリミナル的に仕組まれています。
例えば希美が後輩たちと群れているのはまるでリズだし、みぞれが座って靴の先をコツンと打ち合わせるのは青い鳥がやってたしぐさだし。
ふたりの入れ替わりの潮目となるのは中盤「物語」の中でリズが青い鳥の正体を知ってしまった時、そしてみぞれがフグ部屋で音楽の先生に音大を進められる時。
それからなんやかんやあるけれど最後に飛んでいくのは白い2羽の鳥のイメージ。
もうどっちが青い鳥とかじゃなくてふたりとも大空へ羽ばたいていくんや!ってのにやられました。

鳥に関してはみぞれに合わせて青い鳥がよくよぎります。
あれも1羽の時と2羽の時があったりしてなんか意味があるんだろうけど考えが追いつきません。
あと青い鳥だけじゃなくていろんな鳥を使ってて巧い味が出てると思います。


【音】
静かな映画なんだけどちょっとした効果音にもドキッとさせられました。
衣服が擦れる音、肌が擦れる音、髪がパラける音などなど。
これは映画館じゃないと聞き取れないかもしれません。
そして吹奏楽部アニメなのでクライマックスはもちろん吹奏楽でやる感動。
しかもリズと青い鳥のメロディは序盤から何度も何度も聞かされいるだけに刷り込みもバッチリ。
それが楽器総動員でガツンとみぞれ渾身のオーボエでぶつけられるものだから言葉を失います。
映画館だと音を身体全体で受け止めるものだからその衝撃たるや。
考えるよりも身体が反応して「アッ・・・アッ・・・」って感じで泣いてました。

このままよかったねで終わるかと思いきやラスト希美とみぞれが帰っていくところのBGMは明るいものではなくてむしろ影のある暗い感じ。
未来への不安もあるけれど、今のふたりなら・・・みたいな余韻がズシンときます。
ただのハッピーエンドにはさせないところが見事だと思います。


【鎧塚みぞれ】
希美に対して(*´ω`*)っていう顔をするシーンが3つほどあるんだけどすき。
特にフルートの反射光のところは何度見ても涙が。
あと「図書館の本、股貸しだめなんだけど!」って反抗期なのかわいい。
中学生の時希美に吹奏楽に誘われた時に手が震えてるの、みぞれにとって希美がどれほど大切な存在か物語ってましたね。


【傘木希美】
すごく強くてすごく弱い女の子。
本当のところは誰にも見せない。
クライマックスみぞれのオーボエアタックで希美の仮面がぶっこわれる。
みていてもう抱きしめてあげたくなるんだけど、その後みぞれがボクらのかわりに大好きのハグをしてくれるので一安心。
そしてそのあとの立ち直りの早さが彼女の強さ。
振り幅の大きいキャラなのでいろいろ感じて考えてしまいます。

みぞれにプールに同伴者希望って言われたときの「えっ?」っていう戸惑いの一瞬のところが実に刺さります。
もうみぞれをかごの中に入れておけないの?みたいな。


【剣崎梨々花】
味ついてて美味しい後輩。
みぞれの覚醒と解放を促す超重要キャラ。
みぞれに近づきたいという彼女の願いは叶う。
味ついてて美味しい

みぞれとの二人きりのオーボエ練習曲のシーンは何度見ても泣いてしまう。
ここで窓の外を鳶みたいな鳥が飛んでいくのがいいんですよね。
あれは梨々花の鳥。
梨々花は来年はきっといい先輩になるんだろうな。

あと舞台挨拶上映のときに梨々花役の杉浦しおりさんが言ってたけど、オーディションに落ちた梨々花は最後の合同練習のシーンにはいなくてさみしいと(それまでは画面の中にちょいちょい居たのに)
言われてみると確かにさみしくて上記の練習シーンがなおさらに愛おしい。

あと梨々花効果で味ついてて美味しいコンビニのゆでたまごの売上がアップしたとかしないとか。



【なかよし川】
なかよし川

天使。



【リズと青い鳥】
校舎内の描写のみに徹底しているのも興味深いところです。
プールも祭りも描かないところが潔い。
画面の視点は時に校舎の壁だったりしますし。
もしかしたらリズと青い鳥=シャイニングではないかと考えてしまうのは私だけでしょうか?(私だけです)
まあ校舎や学校といったもの自体が鳥籠ということなんですよね。


否応なしに迫ってくる高校卒業。
時間の流れがどんどん速くなってくる焦り。
迫られる選択はやりたいことか、やれることか?
巣立ちを前に彼女たちが考えることは?


スタッフロールで流れる曲はふたつ。

一曲目の「girls,dance,staircase」は物悲しくノスタルジック。
これで絵本のリズと青い鳥の物語は終わる。

二曲目の「songbirds」は一転駆け出したくなる明るめの曲。
みぞれと希美の物語はまだまだこれから。
そんなふたりにぴったりだと思いませんか。




『リズと青い鳥』公式サイト


映画『リズと青い鳥』オリジナルサウンドトラック「girls,dance,staircase」
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