前作『この世界の片隅に』に約40分間の映像(250カット超)を追加された長尺版、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』観ました。

てっきりリンさん関連だけ追加かと思ってたのですが全体的に追加シーンありで驚きと新鮮な体験でした。
前作を観た人も、っていうか観た人ならなおさら今作観てみる価値があると思います。
追加シーンによりずいぶん味の違う映画となっています。
2020年年明けから上映館も増えるのでぜひ劇場で。





映画は観客が観て完成する、なんていう言葉がありますがこの作品はまさにそうだと思います。
特に映画館での客席の空気(雰囲気)。
これはなんと表現したらいいのかわからないのですがあたたかいようなゆるやかな感じ。
戦争映画でありながら笑いがこぼれるシーンが何度もある。
そしてもちろん胸に迫るシーンもある。
そしてすずさんの生きた時間を傍らでそっと見守る。
その体験こそがこの世界の片隅にだと今回改めて思いました。

・・・なんていうと堅っ苦しいけど単純に面白い映画ですね。


今回見たのは錦糸町のTOHOシネマズにて。
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ロビーに飾ってあるポスターには片渕須直監督とすずさんの声を演じたのんのサインがあって感動。
鑑賞したのは2019年の12月24日クリスマスイブだったのですが、これが劇中冒頭の広島のクリスマスの風景とシンクロして臨場感バッチリ。
戦時中も現在もクリスマスの街は華やかで正月も迫ってて慌ただしくて・・・っていうのは変わらないのだと実感しました。
今ってのは昔からの地続きなんだなぁとか。



さて予告編のあとはネタバレにご注意を。





【さらにいくつもの】
追加シーンにより尺が伸びて上映時間168分。
ながいんだけどあっという間。
序盤から追加シーンがあって驚きでした。
特に教室で水原さんがすずさんに意地悪するとことか。
ちょっと荒れてる水原さんのままならない当時の家庭環境がせつないです。

あと前作ではすずさんはなんとなく流されてって感じでしたが、リンさん関連が追加されたことにより女の強さと意思を感じました。

あと最後のほうの青葉を見守る水原さんをスルーするすずさんのシーン。
前作よりもちょっとわかりやすい感じになってたと思います。
ほかにも「改良」されてるシーンがいくつか。

追加シーンに関していちいちあげてたらきりがないのですがどれもよかったです。
フルアーマーすずさんとか画面に出てくるだけでなぜか笑ってしまったり。


矢継ぎ早だった前作よりもゆっくりと時間がすすむので合間合間にいろいろ考えてしまいました。
「やっぱり戦争はいかん!」とか「おのれアメリカめ爆弾を落としおって!!」とか。
今はアメリカに対する憎しみはないのですがこの映画を観ている間はどうしてもそういう気持ちがよぎってしまいました。
大切なのはやったやられたでたくさん人が死んだ、そういう時代がたしかにあったということを忘れないことですね。

というわけで予想以上にパワーアップしていた『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』でした。



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