以前『1』を観て以来こわいのやだな〜って逃げ回るように避けていた『ムカデ人間2』観ました。
す、すごかったです。

なぜ観ようと思ったかというと映画秘宝の哀悼ディーター・ラーザー特集を読んだからです。




ディーター・ラーザー氏は1作目の博士を演じた方で先日逝去。
北村博昭氏は1作目でムカデ人間の「先頭」を演られた方ですね。
当時の製作事情なども語られたこの記事が本当に胸にグッと来たので今このタイミングで観るしか無い!
今観なかったらきっともう一生観ることないだろうよ!
・・・というわけでアマゾンプライムビデオでレンタルで観ました。
明け方に、ひとりで。


予告編のあとはネタバレにご注意。





※一部センシティブな表現もありますが映画の内容が内容なのでご容赦ください。

【ムカデ人間の正統なる続編!】
前作の『1』を「映画」という枠に閉じ込めてその映画を好きな男が本当にムカデ人間作っちゃうという仕立て。
ほんとにやる奴がいるかバカ!といった内容です。

ただその男の設定があまりにもじっくり煮込んだ感じで濃厚。
まずもう見た目がヤバくてギョロッとした眼に大きくせり出した腹。
その風貌はまるでオーク。
父親やカウンセラーに性的虐待を受けててこじれた家庭環境。
そんな彼が崇拝するのは映画『ムカデ人間』。
術式の手順を書き留めたりムカデを飼ってたりと相当なものです。
そんな彼がムカデ人間を作るために素材集めを始めます。

駐車場に訪れた人を次々にバールのようなものでぶん殴ったりして集めていきます。
その手際とスピード感には感嘆。
そう、この映画を観ている観客はムカデ人間を観に来ているのです。
どんどん作ってもらわないとね。

途中集めた素材の人間が死んでしまい男は泣き叫ぶ。
わかってしまうその気持ち。

母親にムカデ人間のスクラップブックを引き裂かれてしまう。
拾い集めた紙片の中の博士の写真を手にしんみりする男。
わかってしまうその気持ち。

ムカデ人間のDVDディスクは素手で触らないように布で掴む。
あ、わかる・・・。

暗闇のような人生の中で信じたいものが男の中には確かにあったのだ。
だからってやっていいことと悪いことがあるんですが。



【エグいシーン盛り盛り】
白黒映像なので流血表現などはマイルド?かと思いきや白黒ならではのいい味が出てます。
でもいざ手術を始めますよっていうシーンは半分目を背けてました。
(ハンマーで歯を叩き折る、膝の腱を切断するなど)
あと麻酔代わりにバールのようなもので頭をぶっ叩いて回るとか。
もうまるでスナッフフィルム。
自分がこの場にいなくてよかったと心底思いました。
ヒーロー映画なら途中で誰かが助けにきてくれるんだけどこの映画にはヒーローはいないので。

待ってましたのムカデ人間シーンでは餌付け→排泄→餌付けの循環が完成。
うっとりする男の気持ちがちょっとわかってしまう危険領域を肌で感じます。
あと白黒の世界の中、排泄物だけ着色されていてクソッ!ってなりました。

クライマックスは死んだと思っていた妊婦が車で脱走(出産するけど・・・)。
その間ムカデ人間の列が崩壊。
逆上した男がムカデ人間を順番に殺していくが反撃にあいケツの穴にムカデを入れられる。
男は悶絶しながらも全員殺して日常へ・・・ってそれでいいのかEND。
そ、壮絶でした。

あの世界、男がどれだけ殺しても警察の手が及ばないし、捕まえた素材人間を何日か保管しているはずなのになぜかみんな新鮮という不思議な世界です。
もしかしたら男はスタンド使い的ななにかなのかもしれません。


【ムカデ人間】
観客は画面のこちら側という絶対安全なところで観てるはずなのにヤバさが飛び出てくる映画でした。
道徳とか倫理がすっ飛んでいる世界を観ていると自分の中の歪んだ部分がシャキッと矯正されるような目の覚める感覚。
反面教師的にたまにこういうの観るのもいいかもしれませんね。
そしてここまできたら『ムカデ人間3』も観なくてはと思いました。


男を演じたのはイギリス人俳優ローレンス・R・ハーヴィー。
セリフはほとんどなく呻きや叫び声だけでしたが狂気だけではない様々を見事に演じきりました。
大絶賛です。

『ムカデ人間2』最狂の主人公はピンク映画好きの親日家!衝撃描写の裏側激白! - シネマトゥデイ











「ムカデ人間 完全連結 ブルーレイBOX」には、2のカラー版が収録されているそうです。