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シリーズ4作目の『最後の戦場』から十数年、シリーズ5作目となる『ランボー ラスト・ブラッド』がいよいよ日本公開となりました!
アメリカでの公開以降日本でやるのかどうかしばらく音沙汰がなくてやきもきしましたが配給のGAGAさんがやってくれました!ありがとうGAGAさん!!

ギャガ株式会社(GAGA Corporation)

ここはぜひ日本で大ヒットしてスタローン先生に「日本では大ウケでしたよ!」っていうニュースをお伝えしたいのでみなさん映画館で観ましょう!

というわけでさっそく観てきたのですが「さらばランボー」のキャッチコピーにふさわしい壮絶な味わいでした。
(『最後の戦場』の時も「さらばランボー」ってコピーだったような気もするけど)

いろいろな見方ができる映画だと思うのですが、ことジョン・ランボーというキャラクターへの思い入れでだいぶ評価が変動する作品だと思います。
自分は今作を観てジョンへの思い入れが一層深まりました。


予告編のあとはネタバレにご注意!





【ジョン・ランボーの悲しみと怒り】
前作でジョン・ランボーは帰郷する。
でも人の生き死にの瀬戸際からは逃れられない。
『ラスト・ブラッド』の冒頭では遭難者捜索ボランティアなんかをやっている。
そんなことをわざわざしなくてもいいのに「死」に関わろうとしている。
挙げ句、救助できなかった人の死を顧みて落ち込んでいる。
その様を観ながら自分は開幕すでに絶望。
ああ、この人はまだこんなことを繰り返しているのか・・・。

でも牧場に戻れば平穏な暮らしが待っているじゃないか。
と思いきや牧場の地下にトンネルを掘って暮らしている。
まるで過去のトラウマ、PTSDを封じ込めるかのように。
そしてその地下には銃器やナイフが陳列されている。
っていうかナイフを鍛造してるし。
なにやってるんだよ!ジョン!!
そこでまた絶望。
あんた、何も終わっちゃいないんですね。

でもでも!
愛おしい養女がいるじゃないですか。
家族とともに過ごす時間があるじゃないですか。
それで幸せになればいいじゃない。
・・・からの養女死亡。
残酷な運命はジョン・ランボーという男から全てを奪ってしまった。

そして始まる壮絶な復讐劇。
愛娘の命を奪った麻薬カルテルの連中への怒りの復讐。
普通の映画ならヒャッハーとなるボーナスタイムなんだけど自分は悲しみで苦しかった。
いくら連中を殺しても娘は帰ってこない。
ただただ哀しいジョンの眼を見つめるばかりだった。
そして「胸を引き裂いて心臓をえぐり出してやる!」って言ってそれを本当にやっちゃうジョン・ランボーだった。


【さらばランボー】
『最後の戦場』までは死ぬと言っても赤の他人だった。
(愛した女の死もあったけど)
でも今作では身内が争いで死んでしまう。
日常の延長なのでもはや戦争のせいにもできない。
シリーズ中もっとも残酷な展開。
やはりジョンには平穏な暮らしは許されないのか。
でもどうだろうか。
平穏な暮らしを許さなかったのは観客である自分ではないだろうか?
映画館に観に行ったのはジョン・ランボーが大暴れするのを観たかったからだ。
でもこの映画ではその大暴れがとても虚しい。
そしてその虚しさこそがラストのジョンとシンクロするということに気付く。
そこに明確な答えなどないのだ。

この映画を見るまでは「今日一日ずーっとランボーになったつよつよな気分でいるぞ!!」って思ってたけど、観終わった後ではとてもそんな気持ちにはなれなかった。
でもランボーという男を最も身近に感じることができた、そういう映画だった。


悲壮感を抱えるキャラクターを演じ分けるシルベスター・スタローンという俳優はやはりすごい。
ロッキーでは不屈を持って未来に立ち向かう男を。
エクスペンダブルズでは仲間と共に現在を戦う男を。
そしてランボーでは孤独に戦う過去から逃れられない男を。
いつだってスタローン先生は人生と向き合う勇気をくれる。
ありがとう、スタローン先生!
そして、さらばランボー!


【見どころ】
・娘の進学祝いにナイフを贈呈するジョン。
・尋問で大腿部にナイフをぶっ刺して鎖骨をえぐり出すえぐいジョン。
・一度は悪党どもに交渉のチャンスをやったつもりが結局娘を救えなかった悲しみ。
・牧場にご来店の悪党どもを爆炎でおもてなししちゃう哀しい大サービス。
・マグネシウム弾。
・弓矢で磔の刑。
・あそこまでやっても麻薬カルテルの根絶には至っていない悲しみ(どこかで誰かの悲しみは続く)