この映画は以前から観に行くことは決定していました。
『アイの歌声を聴かせて』で大好演の土屋太鳳が出演ということ、怪獣映画がすきということで。

ところが封切り直後にクソ映画ということで話題に。
あらあらどうすんのよこれ。

じゃあなおさら観に行くしかないじゃないというわけで観てきました『大怪獣のあとしまつ』

結論から言うと自分はわりと普通に楽しめてしまいました。
本当にひどい映画だったら席に座っているのが苦痛になるのですがそんなこともなく。
ただ大多数の人が期待していたであろうシン・ゴジラ的な内容とは違うし、合う人のほうが圧倒的に少ない作品だろうとは思いました。

まあオススメはしませんが文句を言うなら観てからどうぞって感じです。

予告編のあとはネタバレもありなのでご注意を。




【これは喜劇】
特撮映画なんだけれど極めて舞台演劇の喜劇的に描かれる。
特に首相たちが限定シチュエーションで会議するシーンはまさにそれで。舞台映えする名優たちの饗宴はなかなかに贅沢。
そしてピカイチなのは環境大臣を演じるふせえり。まさにコメディアンヌ。役名は蓮舫を彷彿とさせる「蓮彿」でかなりキテる。ちなみにふせえりは今作の監督三木聡の妻、これは伊丹十三と宮本信子の映画をも彷彿とさせる。だからなに?

で、問題なのはこの舞台喜劇的なノリにシンクロできるかということ。
演劇ではあたりまえのギャグや下ネタがスクリーンでは寒い。
目の前で生身の人間が演じていればゆらぐ空気が伝わってくるんだけど映画では難しい。
自分は過去の演劇を観た経験を呼び起こしてなんとか拾っていったけど、そんなふうにできる人はまああんまりいないよね。
そもそもそれを映画でやるなよって話でもあるんだけど。

『シン・ゴジラ』と同じようなことをやってもそれはそれで二番煎じと言われてしまうだろうし、真逆(っていうか斜め上)のアプローチは悪くなかったと思う。
シン・ゴジラで神格化&極まってしまった感のある怪獣映画をある意味可能性を広げてくれたのかもしれない。
大事なのは日本でこの先も怪獣映画が作られていくことです。


【上映時間115分】
長い。
特に途中で「光」の正体がわかっちゃうんだけど、じゃあもう光が最後はなんとかするんだろうからはやくしてってなる。
全部で90分くらいにおさまってたら気持ちよく観れたかもしれない。登場人物もけっこう多かったし。
最後の方のミサイルvs穿孔のぐだった流れはもうちょっとなんとかしてほしかった。ミサイルがやっぱりダメだったから穿孔するとか。大前提として人命無視でミサイル撃っちゃダメでしょ(いくら光の人だったとしてもだ)
結局ミサイルが正解だったのか、直接穴を開けるのが正解だったのかわからなかったのが困る。光がなんとかしちゃったら人類の勝利もへったくれもないじゃないですか。
最後もうちょっとせつないい感じにお見送り感ができてればめちゃくちゃだったけどいい映画だったな…って余韻が得られたのでは。


【豪華キャスティング】
楽しいところを集めてきた感じがなかなかよかった。

・土屋太鳳:よりによって太鳳ちゃんに下ネタをやらせるとはなんてことをしてくれる!そしてそれを完璧にやってのけるのが女優 土屋太鳳なのです。研究室のガラス越しにぴょんこぴょんこ飛び跳ねるシーンでは驚異の身体能力を発揮。ジャンプしての反り具合はまるで空中イナバウアー、必見です。

・ふせえり:怪獣に突っ込んでパンツ丸出しまでやってくれる。土屋太鳳との共演が楽しい。

・山田涼介:かっこよかった。まっすぐな表情がいい。特務隊の装備の作り込みかっこよかった。

・濱田岳:最初から最後まで信用できない感じがすごい。

・オダギリジョー:自由。

・西田敏行:総理大臣。めんどくさそうでダメで強情っぱりな感じさすが。

・嶋田久作:怪獣映画に多数ご出演なので。あいかわらずの滑舌の悪さが頼もしい。

・松重豊:胡散臭い町工場の社長!最初松重さんってわからなかった。こんな役をやってくれるの嬉しい。

・染谷将太:大河ドラマで信長やってた男にキノコはやして下ネタまでやらせるとは。

・菊地凛子:俺たちのパシフィック・リムでKAIJUと戦ってた女が凱旋的に出演したのがこれだこれか!かっこよかった。染谷将太と夫婦でのご出演。

・AKIRAのミヤコ様:デモ行進のシーンで登場。あまりの再現度の高さに友人とゲラゲラ笑ってた。

その他みなさんいい芝居でした。


【大怪獣のあとしまつ】
怪獣ってやられたら大爆発することが多いけど実際死体が残ってしまうとかなりめんどくさいということがわかった。そういえばクジラの死体が打ち上げられただけでも後処理が大変だもんね。
怪獣映画、まだまだおもしろい描き方があると思ったのでいろんな可能性にチャレンジしてほしいです。